下村和也

公認会計士の資格と聴覚障害の相性

聴覚障害と公認会計士の資格の相性について書いてみようと思います。

結論から述べると、私は、聴覚障害者と公認会計士の資格の相性は良いと思います。

(幾万の職業があるので一概には言えませんが、個人的に聴覚障害と最も相性が良い職業の一つは、コンピューターサイエンス系だと思っています。)

公認会計士とは、Wikipediaによると、

「会計の専門家である。各国の制度によってその業務の範囲と比重は異なるが、共通して会計監査(財務諸表監査)を独占業務としている。そのほかに経理業務やコンサルティング業務、税務業務も行う。」国家資格です。

一般に、税理士と混同されやすいのですが、税理士は、税務の専門家です。

また、公認会計士は、税理士登録をすることで、税理士業務を行うことができます。

税理士業務とは、わかりやすい業務では、確定申告があります。

私は、生まれつき耳が悪いのですが、監査法人および税理士法人での勤務経験があり、現在は、それらの経験を生かして独立しています。

そのため、公認会計士および税理士業務と聴覚障害の相性について、いくつかの考察を持つことが出来ました。(あくまでも日本国内での話です。)

1, 公認会計士の資格があれば、聴覚障害があっても大企業(*1)に就職できるか

資格を取った年齢によると思います。20代前半であれば、一般の枠(*2)による就職が期待できると思います。

30歳を過ぎてくるとどこの業界でも実務経験が大事になってきます。それは公認会計士の資格があろうとなかろうと同じです。

経理職や財務職を求める大企業に対して、簿記、管理会計、会社法、経営学、租税法その他の豊富な知識があるという非常に大きなアピールになります。

ただし、あくまでも公認会計士試験で培った知識を生かして働くという形になり、公認会計士の資格を生かすという場面はほぼ無いように思われます。

 (*1)大企業とは、上場企業を念頭に置いています。
 (*2)障害者枠と一般枠という文脈での一般の枠です。

2, 公認会計士の資格があれば、聴覚障害者でも独立してやっていけるのか

私の事務所は開業したところなので、成功について語ることは出来ません。ただ、聴覚障害者が一人で公認会計士事務所を運営した場合、成功率は低いように思います。弁護士の先生などは、成功されていらっしゃる方がいるので、そこはただただ尊敬しております。

やはり、公認会計士や税理士の仕事は、経営者とのコミュニケーションも非常に重要です。経営者と満足にコミュニケーションが取れない状況で健聴の経営者(および経理担当者)の信頼を得るのは難しいのではないでしょうか。

ただし、私は手話通訳がいる場合は、その限りではないと強く信じております。

また、健常者と共に運営することによって、経営者の方のコミュニケーションに関する不安を取り除くことができると思います。加えて、公認会計士の仕事は、一定の作業を限られた期間でこなす必要がある場合も多いため、健常者の公認会計士が一人だけでは完結させることが不可能な案件も多いため、信頼できる聴覚障害者と提携したり、共同運営するメリットはあると思います。

3, 公認会計士の資格を取得後に研鑽すべき能力

a, 事務処理能力

まず、聴覚障害者は事務処理能力を高める必要があると思います。健常者の公認会計士でも事務処理能力は人それぞれです。

しかし、聴覚障害者の場合、そこはしっかり、きっちりしている必要があります。聞こえないという言い訳の利かない部分でしっかりしていてこそ、聞こえないから出来ない部分を周囲に理解してもらえます。

ここで、事務処理能力とは、端的にはエクセル能力です。公認会計士の仕事である、監査やデューデリジェンス、M&Aといった仕事は、ほとんどがエクセル作業です。エクセルシート間やブック間にわたるエクセルの作成能力があれば、戦力になります。

vlookup関数など、上場企業では当たり前に使っていますので、様々な関数に対する理解も必要です。その他、wordや大規模データを対象にしたACCESSも使う機会が多いのですが、エクセルが出来れば、これらのソフトは使いこなせると思います。

b, 専門性

専門性を身に着けるために、公認会計士の資格を取得したのに、専門性が必要と言われてもピンとこないかもしれません。

どの専門家もそうですが、専門性の地平は果て無く広いのです。公認会計士の専門性とは、例えば、M&Aに強い、海外業務(英語・中国語)に強い、ITに強い、公会計に強いとったさらなる専門性が必要になってきます。これは、実務および勉強によって身に着けることになりますが、大手の監査法人に就職している場合であれば、自分の希望する部署で、希望の専門性を身に着けることが可能です。

まとめ

聴覚障害者でも公認会計士の資格を生かして活躍することは十分に可能だと思います。当たり前のことですが、資格をもっているだけで、食べていけるほど甘くはありませんが、働き方を工夫したり、事務処理能力や専門知識を伸ばすことで健常者の公認会計士と渡り合えると信じています。

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